「社会化」

 稲場圭信さんによる「社会化」の定義。

 人は社会の中で人となる。社会化である。社会化とは、個人が社会や集団に容認された行動形態、言葉、ものの考え方、感情の表し方などの規範を他の人との相互作用を通して習得することを意味する。一方で、自己の行為の選択肢を増やして成長するために、社会の複雑性を能動的に取り込んでいくことを社会化ととらえることもできる。個人の意味づけが他者に向けられる行為、つまり社会的行為の相互作用によって個人の意味づけが集合して共同の意味づけになる。社会化は、主体的に働きかける個人の相互作用によって集団や社会が形成される過程をも意味することになる(pp.163-164)。

 規範を個人が習得すること=社会化、と同時に、それは習得と同時に終了するのではなく、主体的に何かを獲得していこうとする過程にも生じる、ということ。
 個人の社会化に不可欠な要素としての相互作用。つまりは他者の存在の不可欠性。 

 続けてブルーマーの議論の整理が提示される。 

 シンボリック相互作用論(symbolic interactionism)という用語をつくったブルーマー[1991]は、人間は単に役割を習得し、その役割を遂行するのではなく、他者との相互作用により、新しい役割を主体的につくりだすと考えた。シンボリック相互作用論では、社会的リアリティは、言葉や行為への意味付与、解釈、状況の規定というシンボルを操作する人間の能動的な相互作用を通じて現れるのであり、そこに意味の世界を生きる人間が共有性をつくりだす社会化の源泉がある。社会化は、個人の相互作用によって集団や社会が形成される過程を意味するのである(p.164)。

※ 稲場圭信、2011、『利他主義と宗教』弘文社。





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